2022/12/28 15:24

これまでに住まいに関する様々な仕事を経験した。


直近は、リノベーション関係の仕事で、沢山の古い家や和室を壊してきた。それが正しいと思っていたし、古い物は新しいデザインに刷新されるべきだと使命感に燃えていた。


仕事で携わっていたので、常にリノベの事ばかり考えていた。お客さんに提案したり、私自身26歳の時に中古マンションを購入してリノベしたりした。


和室が苦手だった。

あまり格好良くないし、古い感じがした。

お客さんに価格を考慮して、和室の有る物件を勧める事は有ったが即NG。


和室なんてもってのほか。和室を勧めるなんて、この担当は大丈夫か。そんな反応は一度や二度では無かった。


たまたま都心の和室付きの家に住む事になった。お金を掛けずにリノベーションするにはどうするかを、真剣に考えた。しかし、いくら考えても答えが出ない。


半ば諦めの気持ちで今の素材を活かすステージングを考えて実践してみたところ、素晴らしかった。和室に対する考え方が180度変わった。何の事はない。和室が嫌いだった訳ではなく古臭いのが嫌いだっただけの事である。

そこで、今後提案する上で、素材となる和室を東京23区内で探してみた。

驚いた。

絶望的に和室がない。


畳は安いクッションフロアに変更され、砂壁は同じく安いクロスに変えられ、見るも無残な中途半端な姿になってしまっている。これならば何も手を加えない方が良かったのではないか。


和室が身近な存在であった世代であろう、この部屋の所有者は、若い世代に和室の素晴らしさを伝えようと思わなかったのだろうか。


リノベ好きの若い世代ならともかく、もっとも和室が身近だった世代までもが和室を、

日本人の誇りを破壊している。


それは本当にやりたかったのか、それともやらされてしまったのか、、。どちらか分からないが、その現実が私に何かの使命感を感じさせた。


誰かがその良さを伝えない限り、気が付いたら周りから和室が消えていた。

そんな事に成りかねない。


一度、その行為に使命感が生じると不思議なもので、私はもう「和室嫌い」では無くなっていた。


難しく考えずに自分なりに和室を解釈して和室を楽しみ、日本のインテリアに誇りを持っている人で溢れている。


そんな時がいつか来ると信じて。


和室に住もう

和室を楽しもう


吉祥庵では、和室や古家を楽しむ為にセレクトした商品を扱っています。

日本のインテリアを、少しでも多くの方に好きになって頂けたら幸いです。